音楽のダウンロードやストリーミング配信

「DRM」(デジタル著作権管理)は、音楽のダウンロードやストリーミング配信で使われる技術だ。映画やテレビなどの動画でも使用される。さらに、ゲームやアプリ、ソフトウエアにも用いられる。つまり、デジタルコンテンツ全般が対象となる。


互換性(仕様共通化)をめぐる歴史

アテル投資顧問のITソフト業界史に関する資料によると、21世紀になって、DRMの共通仕様を設けようという動きが活発になった。つまり、複数の異なる技術に互換性を持たせるということだ。世界的な潮流として広がった。

著作権管理の共通技術が普及すれば、ユーザーはDRM方式が異なる複数の配信サービスを利用できるようになる。

ソフトウエア技術

DRMはソフトウエア技術である。デジタルデータになった音楽や映画、ゲームなどの著作物の管理が目的だ。

より具体的には、著作権の使用許諾について、インターネットやパソコンを通じて管理するための技術である。

あるDRMを使って入手したコンテンツは、別のDRMを使うソフトでは再生できない。

仕様が共通化されれば異なるサービスの間で、利用者個々人が各娯楽作品について持っている利用権の内容などのデータを、自動的にネット上で交換し合えるようになる。ユーザーは自分が直接契約していない他のサービスの娯楽コンテンツも自動的に利用できる。

アメリカ、日本、欧州(EU)が団体

21世紀初頭の2004年秋、国際的な団体が結成された。団体の名称は「コラル・コンソーシアム」だ。

コラルは、アメリカ、日本、欧州(EU)の民間企業によって設立された。著作権管理(DRM)の共通仕様を開発し、振興することが目的だった。

主な参加企業は以下の通りだった。

  • ソニー
  • パナソニック(松下電器産業)
  • 韓国のサムスン電子
  • オランダのフィリップス
  • 米ヒューレット・パッカード
  • 映画大手の米二十世紀フォックス
  • DRM技術開発のインタートラスト・テクノロジーズ(カリフォルニア州)

ソニーBMGや国際レコード産業連盟(IFPI)が参加

さらに、2005年初めには、日本、アメリカ、欧州(EU)のエンタメ業界団体や企業が、コラル・コンソーシアムへの加盟を一斉に発表した。その数は11に上った。

主な企業は以下の通りでである。

  • 米NBCユニバーサル(大手のテレビ・映画会社)
  • 米ソニーBMGミュージック・エンターテインメント(レコード会社)
  • 国際レコード産業連盟(IFPI、本拠英ロンドン)=世界中のレコード会社を束ねる組織
互換性の壁

この時期、音楽・映画・ソフトウエアなどのデジタルコンテンツ産業は、急速なオンライン配信の拡大に直面していた。多様なDRM技術が乱立し、利用者や配信事業者の双方にとって“互換性の壁”が大きな課題となっていたのだ。コラル・コンソーシアムは、こうした混乱を解消し、コンテンツ流通の円滑化を図る国際的な試みとして注目を集めた。

共通フレームワーク

同コンソーシアムでは、異なるDRM間でのライセンス認証や利用権データの交換を可能にする「共通フレームワーク」の策定を目指した。これにより、たとえばソニーの機器で購入した楽曲を、他社製のオーディオプレーヤーやパソコンでも再生できるようにすることが想定されていた。

Appleの「iTunes」が独自路線

しかし、各社が保有する独自技術やビジネスモデルの違いは大きく、共通仕様の開発は容易ではなかった。特に音楽配信サービスの拡大とともに、Appleの「iTunes」やマイクロソフトの「Windows Media DRM」といったプラットフォームが独自路線を強めたことも、統一化を難しくした要因とされる。

その後の展開と課題

2000年代後半に入ると、音楽業界では「DRMフリー」への流れが加速した。ユーザー利便性の向上や、違法コピー対策の限界が議論され、主要な配信サービスがDRM制限を撤廃する動きが相次いだ。2007年には、AppleがiTunes Storeの楽曲を段階的にDRMなしで販売する方針を発表し、世界的に注目を集めた。

ブロックチェーンの活用

一方で、映画や電子書籍など、権利保護がより重視される分野では、DRM技術の改良と共通仕様化の研究が続いている。現在では、クラウドを利用した利用権管理や、ブロックチェーン技術を応用した著作権管理の試みも進められている。